金色の師弟

いきなり叩かれ文句を言おうとアデルを見上げたルイは、何も言えなくなった。
ひどく優しげな笑みを浮かべたアデルが、そこにいたのだ。

「お前に着てほしくて、用意したんだ。着てくれるか、ルイ?」

柔らかな懇願に絡め取られ、ルイはゆっくりと頷いていた。
よかった、と一言呟くとアデルは微笑んでルイに背を向ける。

「先に会場で待ってる。ノルン、頼んだ」

「えぇ」

しっかりと頷くノルンに微笑を返すと、アデルは首だけで振り返り口元に弧を描いた。

「逃げるなよ?」

「……!」

からかうような口調に、ルイは目を丸くした。
逃げるな、という一言に色々なものが籠められている。

似合わないとか見劣りするとか下らない理由でドレスを着たくない。
いざドレスを着てみても、他の女性の方が綺麗だからと会場に行きたくない。
ルイが抱くだろう不安はアデルにはわかりきっていて、それでもルイに着てほしいと言う。
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