金色の師弟
女性達が引き止めようと声を掛けるが、アデルは気にも止めず足を進める。
風のように、去っていく。
噂通りの姿だったが、娘たちが解せないのはその風が明確な目的地を持っていたこと。
見たこともない金髪の娘。
彼女達よりも随分と幼いその娘は、黒と灰色の落ち着いたドレスを身に纏っていた。
女性たちは、隣に佇む栗色の髪の女性が、シェーダの貴族で騎士の一人のノルンであることは知っていた。
ノルンがアデルの婚約者であることは、知られている。
そして彼女たちは、アデルの浮名の高さも承知している。
女性たちは、例え婚約者の目の前であっても、アデルに使う色目を緩めるつもりはなかった。
仮にそのノルンの下に戻るのなら、女性たちも納得がいっただろう。
だが、アデルが手を取ったのは貴族ではない一人の娘。
話題の中心であったアデルを奪われ、娘たちは嫉妬の眼差しを隠すことなくルイに向ける。
だが、その視線は全てアデルの背中に防がれ、ルイが彼女達の視線を受けることはなかった。