Together~キミと一緒に~
「岡本先輩でも緊張するんですね。」
「どういう意味かしら?」
「あはは」と話を流してグラウンドを見る。
でも、またすぐに岡本先輩に声をかけられた。
「私ね、好きなんだ。」
「え?」
「尾崎隆也のこと。」
尾崎隆也、って尾崎先輩のことだよね。
好きって、あの好き?
「マウンドに立ってボールを投げてる姿、バッティングをしている姿、みんなを引っ張れるような力を持っている彼のことがずっと好きなの。」
「そうなんですか。告白とかしないんですか?」
「しようと思った。でも、一回聞いたことがあってね。好きな人がいるのかどうか。」
「尾崎先輩にも好きな人がいたとか?」
「そうみたい。」
寂しそうな顔で言う岡本先輩は恋をしている女の子そのものだった。
「だから告白できなかった。告白して振られて、その後今まで通りに接することができなくなったら、その方が悲しいでしょ。」
でも、今の先輩も相当寂しくて悲しいんですよね。
尾崎先輩を見つめるその目が私にそう言っているように見えたから。
「それっていつごろの話ですか?」
「つい最近よ。でも、好きになったのはもっとずっと前だけど。」
「尾崎先輩、かっこいいですもんね。」
「そう。かっこいいの。」
私を見てそう言った岡本先輩は、恥ずかしかったのかすぐに目をそらした。
岡本先輩はとても可愛らしいですよ。
その時、後ろから声をかけられた。
「真里亜っ」
そこには、久しぶりに見たママがいた。
「ママ!来てくれたんだ!」
「来たわよ。昨日メール見たからね。」