元恋人の甘い痛み【完】
「優里。頼むから乗ってくれ」
雷牙は私の手を掴むと、離すまいとぐっと握り締める。無理矢理車内へ押し込むでもなく懇願している。
どうしてそこまでするの。
「私なんかより彼女を病院へ連れてってあげたら?」
「それは後だ。お前が乗らねぇなら力ずくで乗せるまでだ」
雷牙は私をぐっと抱き上げると肩へと担いだ。
その途端、腹部に鋭い痛みが走り言葉を失ってしまった。
「…っ…っ…雷牙……乗るから…降ろして…」
「…どうした?」
「…何でもない」
雷牙は私の身を下ろすと、不思議そうに見つめる。雷牙の視線から逃げる様に車の後部座席へと乗った。