元恋人の甘い痛み【完】
“優里”
唐突に頭を過った名を呼ぶ声に再びドクンと胸が高鳴った。この声の主は雷牙。
どうして今こんな状況で雷牙の声が頭を過るの。何処から雷牙が出て来るのよ。
「…ねぇ、ちょっと待って」
「どうかした?」
「…気分が悪くなって来たのだけど、お手洗い借りれる?」
「ああ、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ」
お手洗いに入り鍵を掛けた。
気分が悪いなんて本当は嘘。ただ、気分が乗らなくなってしまっただけ。
隆之には悪いけど、セックスしたい気分じゃなくなってしまった。