元恋人の甘い痛み【完】
「伝える事は伝えたから、それじゃあ」
『今夜だ』
「え?」
『今夜、迎えに行く』
「気が早いんじゃない?」
『善は急げだ』
「……分かった」
電話を終えるとスマホを無造作にテーブルへと置き、机に突っ伏した。
男が出来る事は大した事じゃない。
恋人が出来る事に比べれば傷付かずに済むし、大した事はない。
なのにどうしてこんなに蟠りがあるのだろうか。
胸がモヤモヤする理由は何?
何が私の胸をつっかえてるのか、分からない。