元恋人の甘い痛み【完】
これで良いのよ。
疚しい事なんて何もないし、遊ぶ男が一人増えただけの事。
それ以上でも以下でもない。
―――コンコン。
「入るぞ」
ノックと共に雷牙が部屋へと入って来た。
「何か用?」
「珈琲を頼む」
「ええ、分かった」
雷牙は自室へと戻らずソファーへと腰を下ろした。
給湯室で珈琲の用意をしながら雷牙へと声を掛け様とチラッと視線を向ければ雷牙は一点を見つめてる。
こんな雷牙は珍しい。
何かあったのだろうか?