元恋人の甘い痛み【完】

「ねぇ、どうしたの?」

「…何でもない」


雷牙は不意に私の身体をぎゅっと抱き込み、肩口へと顔を埋める。


前までの私ならきっと、拒絶したり張り倒してるくらいの勢いだったと思う。


だけど今はそんな心は全く無く、寧ろ元気のない雷牙を慰めてあげたいとまで思う。


私ったらどうしちゃったのかしら。雷牙を憎んでた筈なのに、今は憎む所か心配までしてる。


雷牙は頑固な所があるから、追求した所で素直に口を開くとは思えない。
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