元恋人の甘い痛み【完】

雷牙の背中へ腕を回しぎゅっと抱き締め返す。


言葉で表せないならせめてもの慰みをと、背中をぽんぽんと優しくリズミカルに叩いた。


それでも雷牙は抱き締める腕を弱め様としない。


「…此処は会社よ」

「だから何だ」

「いつまでこうしてるつもり?」

「俺の気が済むまでだ」

「それでもジュオールの社長?」

「勿論だ」


ああ言えばこう言うんだから。


まるで子供みたいだわ。


だだをこねる甘えん坊みたい。
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