元恋人の甘い痛み【完】
「……ごめんなさい」
私は前を歩く雷牙の背に謝ると、背を向け駅へとむかって歩く。
今日は自分の家に帰ったほうがいいわよね。
触らぬ神に祟りなし。
駅に着くと電車を乗り継ぎ自分の部屋へと向かった。
雷牙好きにするって言っていたけれど、それはつまり女とまた会うってことよね。
前の私なら気にしなかったけど、今は心が痛い。
私、いつの間にか雷牙のことをまた好きになっていたのね。
今頃気付くなんて遅いわよね。
私は本当に馬鹿だ。