元恋人の甘い痛み【完】
仕事を終え会社を出て直ぐの事、背後から声がしたかと思うと、そこには雷牙が立っていた。
「電車で行こうとしたのか。電車は大変だぞ。俺も今から帰る所だ。乗れ」
「いいえ、大丈夫。電車には慣れてるから問題ないわ。有難う。時間かかるけど、少し待っていて」
「…待てない。待てないから乗れ」
雷牙は私の手を引くと、半ば強引に車へと乗せられた。
気まずくなるのが目に見えてるから出来れば車に乗りたくないんだけど。
雷牙は聞いてくれないだろうし、仕方ないわ。