元恋人の甘い痛み【完】
「…滝本君、良いかな?」
先方は雷牙をチラッと見るや否や雷牙は頷き、座っていた席を立ち上がる。
続いて、先方の秘書も同じ様に立ち上がると二人で席を外そうと襖へと向かって歩く。
何これ、何だかよく分からないけれど嫌な雰囲気。どうして二人で席を外すの?なら、私も……―――。
「君は此処に残るんだよ」
「…何故ですか?」
「滝本君達は少し涼みに行くだけだから、直ぐ戻って来るさ」
「……そうですか」
立ち上がろうとした刹那、先方に手首を掴まれ立てず、そのまま座り直した。