As Time Goes By ~僕等のかえりみち~
「は?実行委員にピアノ~?!」



佳明が驚くのは無理もなく、


私は顔の前で両手を合わせて……


平謝りする。




「……で、実行委員会やらピアノ練習やらで…、今みたく一緒に部活に向かうの、しばらくできないかも。」


「…マジか……」


顔にがっかりと書いてある。


最近の佳明は…、わかりやすい。


私に伝わりやすいように、わざとそうしてるのかもしれないけど。



「…てか、部活は大丈夫なの?」


「もちろん許可とったし、どっちも手ぇ抜いたりはしないよ。」


「…てか、大丈夫?体力持つの?」


「…大丈夫!もともとタフだし。目標あった方が燃えるしね!」


「……ならいいけど、心配だなあ……」



心配…?!


心臓が……ドクンと脈打った。


やっぱりもう知ってたんだ……。
中道が、指揮者すること。





「柚はすぐ無理するから。」


…あれ、そっち?



「でもなんで実行委員なんかに……」


「ああ、三井くんが推薦してくれて…。」


「…『三井』?」


「…うん?同じクラスの三井良輔くん。…わかる?」



「………三井………。」



佳明は、しばらく考えこむそぶりして、それからまた…いつもの穏やかな笑顔に戻った。



「…いっぱいいっぱいになる前に、ちゃんと俺に言えよ!ちゃんとはけ口になってやるから。」



「……ん、ありがと。」




佳明の言葉が嬉しくて…、



私はうっかり伝え忘れてしまっていた。




中道と一緒に練習することがあるかもしれないって……。







< 207 / 739 >

この作品をシェア

pagetop