【完】プリンセス
「壱?」
「ね、心ちゃん……」
今までに見た事もない壱の顔。
真顔というか……真剣過ぎて直視出来なかった。
「何? 壱? どうした?」
笑って茶化しながら聞いた。
「川合の事、本気?」
「え?」
何?!急にっ?
焦る私にそのままの表情を崩さないで続ける。
「婚約……破棄とか考えれない?」
へ?
婚約破棄?
しないよ?
「俺さ、さっき、まじむかついた」
「さっき?」
「川合が手伝って、全部集めたやつ」
書き直しの話だよね?
それが……ムカツク?
私の片手を両手で握り、目線を落として話続ける。
「絶対、心ちゃん1人じゃ出来ないって思ってて、俺が手伝ってやろうって……思ってたのに」
そっと上がる顔。
哀しそうな目が……私を捕らえた。