Secret Lover's Night 【連載版】
はぁぁっと、抑えきれない想いがため息に変わる。それを千彩は見逃さなくて。カチリとスイッチを切った晴人の手を取り、じっと何かを訴えるように見つめた。
「ん?どした?」
「はる…ちさがいないと寂しい?」
「え?おぉ。寂しいよ」
「悲しい?」
「せやなぁ…悲しくは…ないかな。だって、また帰って来るやろ?」
嘘は吐いていない。寂しいけれど、悲しくはない。少しの間離れて暮らすだけなのだから。
「だから…寂しいけど、悲しくはないな」
「…そっか」
「ちぃは悲しいんか?」
「悲しい」
「何で?誕生日過ぎたらまた一緒に暮らせるやん」
しゅんと肩を落とす千彩の頭をゆっくりと撫で、少し声音を優しくする。最後の夜に泣かせたくはない。そんな想いが、晴人の気持ちを少し柔らかくした。
「ちさ…はると一緒におりたい」
「ちぃ?メーシーもお兄様も言うてたやろ?大人には大人のルールがあるんやって」
「どんなルール?ちさにはわからへん」
「んー…」
さて、何と説明しようか。法律だの何だの、千彩に説いても到底理解出来るはずがない。
いや…それ以前に、お互いの気持ちがあれば、条例だの何だのには引っ掛からない。気にしているのはそこではなくて。
「あんな?ちぃはまだ17歳やろ?」
「うん」
「ちぃと同じ年の子らは学校行ってる子が多いんや」
「学校?」
「そう。俺も恵介もちぃの年の時は学校行ってたし、メーシーだって行ってたはずやわ」
「何歳まで?」
「俺と恵介は二十歳までやな。多分メーシーもそうちゃうかな」
「ふぅん」
学校という場所に興味が無いのか、千彩は「通っていた」という事実だけを納得したようで。「だから?」と、次の言葉を急かす。
「学校行ってる子らはな、親と一緒に住んでる子が多いんや」
「みんな?」
「皆…ではないけど、そうゆう子の方が多い」
「だから?ちさは学校行ってないよ?」
「行ってないけど、行っててもおかしくない年やろ?」
「うーん」
「高校卒業するのが18歳やから、だからそれまで待ってってお兄様は言うたんちゃうかな?」
「そうなん?」
「ハッキリそうやとは言えんけど、多分そうやと思う。帰ったらお兄様に訊いてみたらええわ」
「…うん」
寂しげに瞳を伏せる千彩は、どうやら拒絶の言葉を懸命に探しているようで。うーんと唸り、ゆっくりと首を横に振った。
「ちさにはわからへん」
「そっか…」
たとえわからないと言われたとて、ここに居させるわけにはいかない。約束したのだから。
けれど、出来れば納得した状態で行かせてやりたい。それが誠意だと思うから。
「ん?どした?」
「はる…ちさがいないと寂しい?」
「え?おぉ。寂しいよ」
「悲しい?」
「せやなぁ…悲しくは…ないかな。だって、また帰って来るやろ?」
嘘は吐いていない。寂しいけれど、悲しくはない。少しの間離れて暮らすだけなのだから。
「だから…寂しいけど、悲しくはないな」
「…そっか」
「ちぃは悲しいんか?」
「悲しい」
「何で?誕生日過ぎたらまた一緒に暮らせるやん」
しゅんと肩を落とす千彩の頭をゆっくりと撫で、少し声音を優しくする。最後の夜に泣かせたくはない。そんな想いが、晴人の気持ちを少し柔らかくした。
「ちさ…はると一緒におりたい」
「ちぃ?メーシーもお兄様も言うてたやろ?大人には大人のルールがあるんやって」
「どんなルール?ちさにはわからへん」
「んー…」
さて、何と説明しようか。法律だの何だの、千彩に説いても到底理解出来るはずがない。
いや…それ以前に、お互いの気持ちがあれば、条例だの何だのには引っ掛からない。気にしているのはそこではなくて。
「あんな?ちぃはまだ17歳やろ?」
「うん」
「ちぃと同じ年の子らは学校行ってる子が多いんや」
「学校?」
「そう。俺も恵介もちぃの年の時は学校行ってたし、メーシーだって行ってたはずやわ」
「何歳まで?」
「俺と恵介は二十歳までやな。多分メーシーもそうちゃうかな」
「ふぅん」
学校という場所に興味が無いのか、千彩は「通っていた」という事実だけを納得したようで。「だから?」と、次の言葉を急かす。
「学校行ってる子らはな、親と一緒に住んでる子が多いんや」
「みんな?」
「皆…ではないけど、そうゆう子の方が多い」
「だから?ちさは学校行ってないよ?」
「行ってないけど、行っててもおかしくない年やろ?」
「うーん」
「高校卒業するのが18歳やから、だからそれまで待ってってお兄様は言うたんちゃうかな?」
「そうなん?」
「ハッキリそうやとは言えんけど、多分そうやと思う。帰ったらお兄様に訊いてみたらええわ」
「…うん」
寂しげに瞳を伏せる千彩は、どうやら拒絶の言葉を懸命に探しているようで。うーんと唸り、ゆっくりと首を横に振った。
「ちさにはわからへん」
「そっか…」
たとえわからないと言われたとて、ここに居させるわけにはいかない。約束したのだから。
けれど、出来れば納得した状態で行かせてやりたい。それが誠意だと思うから。