Secret Lover's Night 【連載版】
そっと引き寄せ、しゅんと項垂れる千彩を腕の中に納める。じわりと温まって行く腕の中と、じんと疼く胸の奥が調和された気がした。

「ちぃ?」
「んー?」
「俺な、ちぃのこと大好きやで」
「ちさも…ちさもはるのこと大好き」

漸く顔を上げた千彩の腕が伸びて来る。あぁ…この瞬間が堪らなく幸せだ。と、淡く色付く想いを噛み締める。

「初めて会った日、お前泣いてたやろ?」
「…うん」
「俺な、正直どうしてええかわからんかったんや。お前はほんま…今まで会ったことの無いような女の子やったから」
「…ん?どうゆうこと?」
「まぁ、聞けって。一緒に暮らして、いっぱい色んなことしたやろ?」
「うん」
「これが幸せって言うんやろなって思ったんや」
「幸せ?」
「そう。幸せ」
「幸せって嬉しい?」
「おぉ。嬉しいし、楽しいし、大事なもんや」
「じゃあちさも幸せ!」

パッと千彩の表情が明るくなる。それが晴人にはとても嬉しくて。ちゅっと頬に口付け、顔にかかる髪を避けて言葉を続ける。

「幸せはな、すぐに壊れてしまうんや」
「壊れるん?」
「そう。ため息吐いたら逃げるやろ?それ同じや。だからな、大事に大事に守っていかなあかん」
「どうやって?」
「俺とお前がちゃんとルール守って、これからもずっと幸せでおれるように守ろう?」
「そしたら、ちさはずっとはると一緒におれる?」
「おぉ。ずっとずっと一緒や」
「じゃぁちさ…約束守る」

わかってくれたか!と思わず喜んだものの、どうやらそうではないらしい。少し首を傾げながら、千彩は複雑な笑みを見せた。

「ちさはー…あほやから難しいことはわからへんけど、はるがそう言うならそうする。だってちさ、はるのこと大好きやから。ずっとはると一緒におりたい」
「千彩…」
「ちさが約束守っていい子にして、それでここに帰って来たら、ちさははるのカノジョになれる?」
「彼女?」
「ちさ、はるのカノジョになりたい。はるが一番愛してる人になりたい。なれる?」


嗚呼…どうしよう。
幸せ過ぎて涙が出そうだ。
< 125 / 386 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop