Secret Lover's Night 【連載版】
仕事に出る恵介を二人で玄関まで見送り、バイバーイと手を振る。

恵介は夜の言葉通り千彩を連れて行こうとしたのだけれど、甘え癖の強い千彩が離れなかったのだ。

「今日は何するん?はるお仕事は?」

ペタペタと着き回り、千彩が後ろから話し掛ける。当の晴人は、洗濯機を回したり、洗い物を片付けたりと忙しなく動いていて。


「ねー、はるー?」


服の裾を引いても「後でな?」と動きを止めない晴人に、千彩は頬を膨らせドスンとソファへ腰を下ろした。

「そんな顔せんと。ほら、TV点けたるから。な?」

ポンポンと頭を撫で、手にしたリモコンを渡してやる。

くるくるとチャンネルを変えても、どこも情報番組ばかりで頬は膨らむ一方だ。アニメチャンネルでも入れるか…と、晴人はやはり甘さを見せる。


昼食の下準備を済ませた頃にちょうど洗濯機が完了を告げるアラームを鳴らし、パタパタと脱衣所に駆け込んで手早く中身をカゴに移す。

そして、思う。俺は主婦か!と。

そんな晴人の思いはお構い無しに、やらなければならない家事はまだ残っているわけで。ふーっと一つ息を吐いて、カゴを片手にバルコニーへと出た。


「うわっ…あっつ…」


7月ももう後半。梅雨空から一転、晴れ渡った空には日差しを遮る雲の姿は少ない。

蝉の声と夏休み中だろう子供達の声が混じり、普段静かなマンションの周りは賑わっていた。
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