私の恋人は布団です。
「延がそんなコト言うなんて,意外……」

「恋は魔物って言うしね……」

 親友と憧れの先輩から寄せられる生暖かい視線。


(完璧に誤解されている……!?)


「あんなに,“大好き”って言ってくれたのに……嘘だったんですか!?」


 そして,延に詰め寄る不審人物。



(神様……目の前の男を今直ぐ宇宙までぶっ飛ばしてください……)



「何?痴話喧嘩?」

「あの男の子,カワイソウ」

「アレ,羽河さんよねェ?そういうタイプには見えなかったけど……」

「人は見かけによらないんだな」

 ヒソヒソと周りの生徒がその状況を見て小声で次々に言う。



(そして,悪者は私なんだ……顔がいいって……得だわ……)


 世の中の不公平を嘆いている場合ではない。


 自称“掛け布団”の隆也は,放っておくと碌なことが無いのだ。


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