私の恋人は布団です。
「延さん!」
次の日の昼休み,隆也は意を決して延の机の前に立つ。
「……な,何?」
本当は,朝に言おうとしてタイミングを逃し,登校する時も緊張して上手く言えず,隆也は焦っていた。
その所為か,不思議な威圧感があった。
「あの,ですね……実は……延さんにお願いがありまして……,……を,俺と……」
しかし,出落ちに終わった声は徐々にフェードアウトしてしまう。
「え?何?」
「ですから,その,俺と……を,して欲しいなぁ,と思いまして……」
強引さの欠片も無い態度で,隆也は延を見つめる。
「聞こえないってば!ハッキリ言いなさい!」
「は,はい!俺と『ラブラブデート』して下さい!!」
隆也は目を瞑りながら精一杯の音量で叫んだ。
「…………は?」
教室中に隆也の言葉が木霊し,ご丁寧に延の耳でエコーさえ引き起こした。