私の恋人は布団です。

「ど,どうして……」

 隆也は期待を込めて聞いた。

「勉強なんて不慣れなんだから,出来なくても仕方無いでしょ。手伝ってあげる」

「有り難う御座います!」


 理由はどうあれ,延が自分を気にかけてくれていると言う嬉しさを噛み締めながら,隆也は言った。



「だから違うって言ってるでしょ。これは……」

「は,はい」

「……真面目にやらないと帰るからね」

「頑張ります」

「追試も終わらないと遊びにも行けないし……」

「頑張ります!」


「ウンウン。放課後の教室って,燃えるよねェ」


「今,何か変な事言わなかった?」


「い,いえ……?」


「何かもう神聖な学び舎で二人っきりとか甘酸っぱい感じがさぁ……キュンキュンしちゃう!」

 ふざけた台詞に延の眉間が歪んだ。

「ちょっと……」

「俺じゃありませんって!」


「じゃあ誰よ!」


「はーい」

 向かい合う二人の直ぐ横からその間の抜けた声は聞こえた。

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