私の恋人は布団です。
「な,何してるんですかっ!?」
延は,がたんっと威勢よく立ち上がる。
「何って……延チャンと隆也の青春の1ページを見守っているワケですよ」
アキラは低めの机に頬杖をついた。
「俺に構わず続けちゃって!何なら仲良くチューでもしちゃって!」
井戸端会議の主婦隊長の様な口振りである。
「ペンで刺しますよ……」
殺気立った延に,隆也は身の縮まる思いだった。
「だからァ,身体的責めにも耐えられるんだってば~」
不気味にニヤニヤと笑いながら,アキラは自分の体を抱きしめて恍惚の表情を浮かべる。
(此れは神様なんかじゃない……祭り屋台での鬼……そう,的だわ……)
「ま,枕神様……延さんを怒らせないで下さいよ!」
隆也は困惑しながら,情けない声を上げた。
「違うよ~。まだ子供の隆也には分からないかもしれないけど。これはね,精神的志向の一致によるちょっぴりオトナの『崇高な戯れ』な・の・だ・よ」
うふふ,と鳥肌の立ちそうな笑い声を漏らしてアキラは言った。