私の恋人は布団です。
「何だかよく分からないけど物凄く腹が立つわ」
「そう,そうやって俺を虐げたらいい!」
「……ど真ん中。いいえ……やっぱり頭かしら……」
人差し指を左右横に揺らして,アキラは明らかな挑発をする。
「恋の矢は胸に刺すんだよ♪」
(そのまま天に召されてしまえばいいのに……!!)
延は脳内でアキラが心を読む事を意識して悪態を吐いた。
ダーツ矢を構えるようにして細めのペンを延が持ち上げると,アキラは素早く教室の前側に移動し,延と向かい合う姿勢で教卓に腰掛けた。
そして,余裕の笑みを浮かべた。
「そうやって睨まれるとゾクゾクしちゃう~」
延は沸々と滾(たぎ)る怒りを抑えきれずに,腕を振り下ろそうとした。
元はと言えば,全てこの男が元凶である。
「延さん,危ないですから……!」
「いつかこの男は何かしらの方法で痛めつけなくちゃいけないと思っていたのよ。それが今なの!」
「駄目ですって!一応神様なんですから」
隆也は思わず,今にでもアキラの方へ飛ばされそうなペンを握っている延の腕を掴んだ。