私の恋人は布団です。
「まだデート行けてないんだ……」
修一は内心で密かにほくそ笑み,困った風に小さく溜息を吐く。
以前のように週一ペースではないにしろ,隆也は生徒会室で修一に結果報告をするようにしていた。
「……はぁ。やっと追試が終わったので,ちゃんと誘いなおそうとは思っているんですけど,タイミングが難しくて」
「そう。それで,今日はどうしたの?」
「え?」
「何か,あったんじゃない?」
隆也は,分かり易い。
それが人間観察に長けている修一ならば,隆也の心中を察する事など朝飯前だった。
「じ,実はタイミングが無いのは,その……。何だか,延さんに避けられているような気がしていて……」
「何かしたのか?」
修一は言葉尻が鋭くなるのを制しながら言った。
「それが,思い当たらないんですよ……。き,嫌われたんでしょうか!!」
眉毛を八の字にして泣きそうな顔をする隆也を眺めながら,修一は考えていた。
(どっちだろう……。どちらにしても,これ以上は見ているばかりじゃ駄目かな)