カタチのないセカイの為に
『俺の為に、彼女が…?』
優潤は、テーブルの上に両腕で隠すように顔を埋めた。
顔がにやけて戻らない。
いっきに満開の桜が咲いた感じだ。
なんて、幸せなのだろう…。
一週間、海の家に通い詰めた事が報われた。
彼女を侮ってしまった事に、申し訳ないと感じ。『ごめんなさい』と声には出さずに
心の底から、めちゃくちゃ誤った。
彼女は、『あの時』のままだった。
変わってなんかいない。
「そう言えばね。」
「おーい。
聞いてるかーい。」
美咲の声がした。
『気持ちよ。治まれぇ!』と自分自身に言い聞かせた。
『コクコク。』
顔を埋めたまま、頭を動かした。
「今、理子たち帰って来たよ。
庭で、絵を描くって」
「………」
「ねぇ。聞いてる?」
コクコク。
「数学、教えてくれるんでしょ。」