カタチのないセカイの為に
健吾が、寝そべっていた体制から、
身体を起こした。
優潤も、ソファに腰を掛けてグラスに手を伸ばした。
「数学組はどう?進んでる?」
美咲は、顔を斜め下に傾けて呟いた。
「あんまり…。進んでないかも…。」
「そうなの?」
美咲は、テーブルに肘を突いていた手に額を当てた。
「うん…。
あ。でもでも、凄く教え方は上手いんだよ。解りやすいし…。でも…。」
「でも?」
「思っていたより、解けないのが多くて…
確実に、足引っ張ってる…。」
「…………」
健吾は、複雑な顔をした。
そんな事考えなくていいんじゃないか?
ダイタイ、優潤は君に教えてあげられることを、心底喜んでるぞ?
更に更に、わからない問題が沢山あることを願ってるんだぞ。
理子は、困った顔をした。
「チョットくらい、足引っ張らせた方がいいの。
ダイタイ、優潤は前期中間テストも、一位だったんだから。」
それに、中学三年の時、優潤が持っていた参考書は、高校三年のものだった。って頭の中で続けた。
「え?そうなの?」