奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
トイレでの用事を済ませ手を洗っていると、ふと鏡に映った自分と目があった。


疲れた顔……。


気分転換にエステでも行くかなー。


トイレから出ると春ちゃんがプカプカ浮きながら待っていた。



「なに見てんだよ」

「べ……」

「鈴川さん?」



「別に」と言おうとした時、知っている声に遮られ、思わず体が強張った。


声がした方へ顔を向けると、予想通りそこには日下部さんが立っていた。



「金曜日は本当にごめん」

「謝らないで下さい。私の方が申し訳なかったです……すみませんでした」



私たちの間に何とも言えない空気が漂った。


気まずいと言うかなんと言うか、何を話していいのか分からない。



「あ、あの……失礼します」



日下部さんに頭を下げ背を向けた。


視界に日下部さんの姿が映らなくなった事で、多少肩の力が抜けた。



「鈴川さん」



名前を呼ばれ、おずおずと振り返った。


何?



「今度は二人で食事に行ってもらえないかな?」



……二人で?



「お詫びをさせてほしい」

「お詫びだなんて……悪いのは私の方なのでこの間の事は気にしないで下さい」





< 85 / 255 >

この作品をシェア

pagetop