『主夫』だって『恋』してますけど何か?
「・・・・そうですか。残念です。
でも機会があれば是非!
それでは失礼します。」
優はもっとしつこく
頼まれるかと思っていたが
小夜子は意外とあっさり
引き下がり、挨拶をしてその場を去った。
(・・・・ああいう娘はあっさり
引き下がったりしないのに。
絶対、何かたくらんでるわね。)
確信は持てないが、優の仕事の
経験からそう思った。
「優、気をつけろよ。」
隣にいた藤堂が周りに
聞こえない様に言う。
「・・・・解ってる。」
藤堂の言葉は優の考えを
確信に変える。
藤堂は今日、和樹と小夜子が
知り合いだった時点で余り良い
再会でないことを感じていた。
(帰ったら、和樹にも
忠告しとかないと・・・・)
優はため息をつきながら
百貨店を後にして
自分の会社に戻った。
(・・・・最近、仕事を和樹に乱されてばかりだわ。)
優は会社で仕事をこなしながらも
和樹と小夜子のやり取りを
思い出してしまい
集中出来ないでいた。
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「ただいま。」
仕事が終わり、家に帰る優。
「お帰りなさい!」
エプロンを付け、お玉をを
持ったまま玄関へ走ってきた和樹。
「今日は帰り、早かったですね♪」
嬉しそうな顔を優に向ける。
「・・・うん。
ちょっと疲れてるから。」
(本当は仕事に集中
出来なかったからなんだけど。)
優は嬉しそうな和樹をみて和む。
「ママおかえりなさい!」
「マ〜マ。かぃよ〜!」
和樹とリビングに入ると
マリンとカイトが嬉しそうに
優に駆け寄って来た。
「ん・・・ただいま。
マリン、カイト。」
マリンとカイトの頭を撫でた。
(ホッとする。)
優は微笑んだ。
イライラしていた
自分が馬鹿らしくなった。
(この時間を壊したくない。)
「優さん!
今日の豚の角煮どうでしたか?」
夕食の後、ソファーに
座る優に和樹が聞いた。
「美味しかったけど?」
優はニュースを見ながら答えた。
「ですよね!
あれ、カイトが当てた
圧力鍋で作ったんですよ。
凄いですね、圧力鍋って。
もっと早く買えば良かった〜」
和樹は優の隣に座りながら言った。
(・・・・よく解らないけど嬉しそうね。)
優は上機嫌の和樹を見つめる。
「・・・・・和樹、あのさ。」
今言うべきか迷ったが優は口を開く。
「なんですか?」
和樹はニッコリ笑って優を見た。
「あの、小夜子って娘、
何を考えてるか解らないから
関わらないで。」
そう冷たく言った。
<優SideEnd>