学校監禁ツアー
〈如月 奏太〉

「ん…」

俺が気がついたのは、さっきの廊下ではない別のところだ。
頭の傷は何か布で止血されているらしい。

体を動かそうとして、気がついた。

腕に何かが巻き付いていて、そのせいで体が動かしにくいのだと。


…コードだ。

俺は机の上に寝ている。

周りをよくみると、ヤスリやら鋸やら、木工作品がある。

そうか。ここは、木工室…


何とかして起き上がった。


木工室からは、離れなくては…

ここには、たくさんの凶器がある。


急いで木工室のドアを開けて、外にでる。良かった、開いた。すると、後ろの方からガタリ、と音を立てて、何かが倒れた。

ぺた、ぺた、ぺた…きいー、ざっ、きぃー…

足音と、何かを引きずる音。金属音。


バンッ!!

木工室の窓に、女の顔がへばりつく。

「あ…」

女は、顔をひどく歪めて、鋸も使って窓を、ドアを壊そうとする。なんだか、その光景は…

俺は迷わず駆け出した。 そして、ドアを開けようとした。

「だめだよ」

よく通る、少年らしき声がした。

「あけちゃ、だめだよ」

「きみ、は…」

そこには、小学生らしき少年がいた。

「あけちゃ、だめだよ」

そこで、ハッと我に返る。そうだ、相手はノコギリを持っていた。

「…わかった。開けない…」

「音楽室」

「…え?」

「そこに、ここから出るためのヒントがあ――」

少年は消えた。

ついでに、俺の手に巻き付いていていたコードも消えた。

「音楽室、か…」

ふと後ろを向くと、女が窓を叩くことをやめ、こちらを鬼のような形相で睨んでいた。

よくわからないが、音楽室に向かおうと思う。

みゆき、無事かな…

みんなは…



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