学校監禁ツアー
「翠さん、ひとりは危険だ。翠さんっ!」
「いっ…いやぁああぁあ゛あ゛ぁあっ!!!」
翠さんの声が聞こえた。一階の方からだ!俺は階段を駆けおりる。どうか無事でいてくれ…
「翠さ…」
翠さんは、被服室の前で座り込んでいた。俺は少しほっとした。
だが、すぐに翠さんの様子がおかしいことに気づく。
翠さんは、被服室の中を凝視したまま、震えている。
「翠さん…?」
よくみると、翠さんの手に血が付いている。
「翠さんっ!何が、どうしたんですかっ!」
「ピアノ線が…ありました。ワイヤーかもしれませっ…研がれていて、触っただけでも……あ、れ……」
翠さんが指差す方向、そういえば、先程からなんだか生臭いにおいがする。
いやな予感を感じながらも、俺は被服室の中を慎重に覗く。
「っ…!!」
中には、ワイヤーかなにかが張り巡らされている。そして、血の線が部屋にある。その中にいた、いや“あった”のは眞埜硲 凜の、胴体…だろうか。バラバラに解体された体の残骸の下に、上履きがみえる。 かろうじて読めるのは…
硲 凜…
「ぅぐ…」
生臭いにおいは、内蔵や内蔵の中身…
「翠さん、ここからはやくでようっ!」
「で、も…」
「みんなだってきっと玄関にいる!それに…ここは危ない。」
俺は翠さんを立たせて、手を引っ張る。
事務室前玄関には、武藤と几亥谷がいた。
そこで聞かされたのは、信じがたいことだった。
「外に、出られない…?」