薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~


今までずっと見てきた血《花弁》が散るさま。美しくもあり、嫌悪をも抱かせる。それでも見てしまうのは血筋故なのだろうか。



きっといつか桜は予言するであろう。自分の兄であり、化け物となった櫻澤紅華の死を。その時が俺達の役目。


兄を楽に逝かせる遂行するのだ。だからこそもっともっと強くなっておかなければ。紫音に静寂は強くなった。だが俺はまだ精神的に弱き面が残っている。それは―――身内でも殺せる覚悟。最終的には己が手を下さねばならぬのだ。なのに尊敬していた兄の血を浴びなければならぬことを考えると、手の震えが止まらなくなる。


やはりまだまだ修行が足りないもっと強くならねば、そう決意した瞬間、兄の象徴色である薄紅の花弁が……散った。
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