シャクジの森で〜番外編〜
「――――そうですか。今、そんなことを―――でもそんなに心配しなくてもいいでしょう。何かあればエミリー様の叫び声が聞こえるはずです。それに、アラン様が傷つけるはずもないでしょう。少し、落ち着いたらいかがですか」
「シリウス殿。それはそうなんですが・・・。あの方の一撃は、鍛えられた警備兵でも、声も出せないくらい素早くて恐ろしいんですよ。・・・私は心配で・・・。昔のことを思い出してしまってねぇ・・どうにもこうにも」
料理長は瞳を閉じてぶるぶると頭を横に振った。
「昔のこと?実際に、何かあったのですか?」
「はい――――そう、あれは、アラン様がまだ16歳になられて間もない頃で―――――
あの日は、確か、朝から雨が降っていたっけ・・・。
・・・食堂で、給仕たちがひっそりと会話を交わしていたんです。
その表情が真剣で険しくて。何があったんだろうと・・・。
『どうかしたのか?あれっ?アラン様は・・・また執務室か?』
『違います料理長。まだ来られていないんです。兵からの伝言もありませんし。私たちはどうすればいいのでしょう?』
壁の時計は8時をまわったところを指してる。
いつもならアラン様は既に食堂に来られて、席に座っておられる時間。
これは、おかしいと思いましてね。
で、私は3階の寝室の方へ様子を見に行くことにしたんですよ。
トントンと軽やかに3階へと登って行ってね。
・・・うん、あの頃は私もスマートだったなぁ・・・」
料理長の瞳が細まり、ここではないどこか遠くを見つめた。
想い出にふける料理長の代わりに、正室の扉の中に気を配るシリウス。
大丈夫だとは思うが、もしもの時のため少しでも異変があれば、すぐさま対応できるように体の準備をしていた。
料理長は話はそっちのけで、何を考えているのか夢見るような瞳をしている。
――全くこの方は・・・さっきまでの心配げな様子は何処に行ったのか・・・。
ちっとも進んでいかない話に痺れを切らし、先を促した。
「料理長殿。で、それからどうしたんですか?」
「あぁ、すみません―――いや、もし、病気にかかっているのであれば、それに見合った食事をご用意しなければいけませんから―――」
「シリウス殿。それはそうなんですが・・・。あの方の一撃は、鍛えられた警備兵でも、声も出せないくらい素早くて恐ろしいんですよ。・・・私は心配で・・・。昔のことを思い出してしまってねぇ・・どうにもこうにも」
料理長は瞳を閉じてぶるぶると頭を横に振った。
「昔のこと?実際に、何かあったのですか?」
「はい――――そう、あれは、アラン様がまだ16歳になられて間もない頃で―――――
あの日は、確か、朝から雨が降っていたっけ・・・。
・・・食堂で、給仕たちがひっそりと会話を交わしていたんです。
その表情が真剣で険しくて。何があったんだろうと・・・。
『どうかしたのか?あれっ?アラン様は・・・また執務室か?』
『違います料理長。まだ来られていないんです。兵からの伝言もありませんし。私たちはどうすればいいのでしょう?』
壁の時計は8時をまわったところを指してる。
いつもならアラン様は既に食堂に来られて、席に座っておられる時間。
これは、おかしいと思いましてね。
で、私は3階の寝室の方へ様子を見に行くことにしたんですよ。
トントンと軽やかに3階へと登って行ってね。
・・・うん、あの頃は私もスマートだったなぁ・・・」
料理長の瞳が細まり、ここではないどこか遠くを見つめた。
想い出にふける料理長の代わりに、正室の扉の中に気を配るシリウス。
大丈夫だとは思うが、もしもの時のため少しでも異変があれば、すぐさま対応できるように体の準備をしていた。
料理長は話はそっちのけで、何を考えているのか夢見るような瞳をしている。
――全くこの方は・・・さっきまでの心配げな様子は何処に行ったのか・・・。
ちっとも進んでいかない話に痺れを切らし、先を促した。
「料理長殿。で、それからどうしたんですか?」
「あぁ、すみません―――いや、もし、病気にかかっているのであれば、それに見合った食事をご用意しなければいけませんから―――」