シャクジの森で〜番外編〜
エミリーが廊下で皆に囲まれている中、アランは部屋で身支度をととのえていた。
王子たるもの、どんなときも身嗜みはきちんとしなければならない。
焦りながらも鏡に映しチェックしていた。
先程、声をかけるも空しく、エミリーは両手を駆使し何とか扉を開けて廊下に出ていったところだ。
―――全く・・・トレイどころかポットまで抱えて行くとは・・・。
案外たくましい―――いやいや、違う。
感心している場合ではない。
あのままでは全く危険極まりない。
急いで廊下に出ると、シリウスとウォルターそれに警備兵に囲まれ、少し困ったようにしているエミリーが目に入った。
シリウスはポットを持ち、ウォルターと警備兵は興味津々の様子でトレイを覗き込んでいる。
しかもウォルターはエミリーの華奢な身体を覆うように背後から覗き込んでいる。
「これは、美味しそうですね」
「でも、冷めてしまってるの」
「危険ですから、私がお持ち致します。さぁ、此方にお渡しください」
などと話す声が聞こえてきた。
エミリーを見る皆の表情がなんとも、甘い。
―――どうにも気に入らぬ・・・。
「・・・何をしておる」
苛立ちの色を隠せず声に乗せると、ウォルターとシリウス以外皆急ぎ後ろに下がり、居住まいをただし頭を深く下げた。
「アラン様、おはようございます」
「・・・御苦労。シリウスは休暇を申し渡しておるはずだが、何故ここにおる。本日は私が傍におるゆえ“護衛は必要ない。一日休息するように”と昨日申した筈だが」
「申し訳御座いません。団長殿に呼ばれ、雑務の処理に参りました。終了致しましたので帰宅するところで御座います」
「・・・それならば良い。シリウスにはこれからもエミリーを守って貰わねばならぬ。しっかり休むが良い」
近寄りすぎのウォルターを遠ざけ、皆から守るように華奢な肩を包み込んだ。
「エミリー・・・全く、勝手に出てはならぬと申したのに。コレは私が持っていく。シリウスそれをこちらに」
小さな手からトレイを奪い取り、ポットをわきに抱えた。
エミリーがじっと此方を見上げている。
どこか嬉しそうに見えるが・・・。
「どうかしたか?」
問い掛けると、頬がほんわりと染まりサッと瞳を伏せた。
「・・・・・?」
「いいえ・・・何でもないです・・・。ぁの・・・アラン様、それだと危ないわ。ポットはわたしが持ちます」
「・・・冷めてても良いと申したのに・・・早く味わいたいという私の気持ちを、君は察してはくれぬのか?」
「あ、ごめんなさい・・・でも、より美味しい方が良いでしょう?」
「そうだな・・・。仕方あるまい、参るぞ?」
華奢な腰を引き寄せ、しっかりと支え、ゆっくり歩き始めた。
王子たるもの、どんなときも身嗜みはきちんとしなければならない。
焦りながらも鏡に映しチェックしていた。
先程、声をかけるも空しく、エミリーは両手を駆使し何とか扉を開けて廊下に出ていったところだ。
―――全く・・・トレイどころかポットまで抱えて行くとは・・・。
案外たくましい―――いやいや、違う。
感心している場合ではない。
あのままでは全く危険極まりない。
急いで廊下に出ると、シリウスとウォルターそれに警備兵に囲まれ、少し困ったようにしているエミリーが目に入った。
シリウスはポットを持ち、ウォルターと警備兵は興味津々の様子でトレイを覗き込んでいる。
しかもウォルターはエミリーの華奢な身体を覆うように背後から覗き込んでいる。
「これは、美味しそうですね」
「でも、冷めてしまってるの」
「危険ですから、私がお持ち致します。さぁ、此方にお渡しください」
などと話す声が聞こえてきた。
エミリーを見る皆の表情がなんとも、甘い。
―――どうにも気に入らぬ・・・。
「・・・何をしておる」
苛立ちの色を隠せず声に乗せると、ウォルターとシリウス以外皆急ぎ後ろに下がり、居住まいをただし頭を深く下げた。
「アラン様、おはようございます」
「・・・御苦労。シリウスは休暇を申し渡しておるはずだが、何故ここにおる。本日は私が傍におるゆえ“護衛は必要ない。一日休息するように”と昨日申した筈だが」
「申し訳御座いません。団長殿に呼ばれ、雑務の処理に参りました。終了致しましたので帰宅するところで御座います」
「・・・それならば良い。シリウスにはこれからもエミリーを守って貰わねばならぬ。しっかり休むが良い」
近寄りすぎのウォルターを遠ざけ、皆から守るように華奢な肩を包み込んだ。
「エミリー・・・全く、勝手に出てはならぬと申したのに。コレは私が持っていく。シリウスそれをこちらに」
小さな手からトレイを奪い取り、ポットをわきに抱えた。
エミリーがじっと此方を見上げている。
どこか嬉しそうに見えるが・・・。
「どうかしたか?」
問い掛けると、頬がほんわりと染まりサッと瞳を伏せた。
「・・・・・?」
「いいえ・・・何でもないです・・・。ぁの・・・アラン様、それだと危ないわ。ポットはわたしが持ちます」
「・・・冷めてても良いと申したのに・・・早く味わいたいという私の気持ちを、君は察してはくれぬのか?」
「あ、ごめんなさい・・・でも、より美味しい方が良いでしょう?」
「そうだな・・・。仕方あるまい、参るぞ?」
華奢な腰を引き寄せ、しっかりと支え、ゆっくり歩き始めた。