シャクジの森で〜番外編〜
「そうであったか。すまぬ、起きられぬのは私のせいだな・・・毎夜、すぐに寝かせてあげられぬゆえ。

だが、こればかりは何とも・・・君を愛するがゆえだ、許せよ・・。

これからはもっと控えたほうが良いのだな・・・?

自信はないが、努力する。

それに、朝は目覚めるまで傍におることにしよう。

用がある時や、忙しい時はすまぬが、前もって申すゆえ。

それで良いか?・・・だから、もう哀しんではならぬ・・・」




君のためと思い、起こさずに部屋に戻っておったが、それが寂しい思いをさせておったとは。

やはり、私は女性の扱いには疎い。

もう少し、学習せねばならぬな・・・。

だが、良いか・・・、エミリーとともに成長できれば、それで・・・。




「はい、アラン様。・・でも・・・・あの・・・夜のこと、なんですけど・・・。特に構わなくて―――あの、アラン様の思うままで、いいです・・・」



「本当か?私の思うまま、で構わぬということは・・・。良いのか?それでは、今よりももっと寝かせられぬかもしれぬぞ?」



問いかけながら唇を指でなぞると、頬を染めてコクリと頷いた。

触れるだけのキス、唇を離すとリップ音がなる。

もっとしたいところだが、今は、これだけで我慢だ。


今は、君の話を聞かねばならぬ。



「涙のワケは分かった・・・・もう一つ聞きたいのだが。食事が進まぬワケは、何だ?」



「ぁ・・ぇっと、だから、今・・とてもドキドキしていて・・・。

わたしが準備した服を着た姿を見るだけでも嬉しくて、胸がいっぱいなんです・・・。

目の前に座ってるアラン様がとても素敵で、眩しくて、落ち着かなくて・・・。

それに、残さずに食べてくれて、わたしとても幸せだなぁって思ってたんです・・・

だから、わたしねっ――――きゃっ」





エミリーの言葉を聞いているうちに、手が勝手に後頭部にまわっていた。

もう片方も、手を握っていたはずなのに、いつの間にか背中にまわっていた。

無意識にも腕に力が入り、気付けば柔らかで軽い身体を膝の上に乗せて、きつく抱き締めていた。

フォークを持ったまま椅子から引きずりおろされたエミリーは、困惑気味に小さな声を上げている。


どうやら少し苦しいようだが、その声を無視し、抱き締める腕をさらに強めた。


―――もう、抑えられぬかもしれぬ―――
< 39 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop