シャクジの森で〜番外編〜
吐息交じりに言葉が出ていた。





「エミリー・・・・君は、私を殺す気か・・・・?」








「え・・・?殺すだなんて・・・そんな、あの・・わたし、何も・・・これはその、不可抗力です・・・」



フォークを持つ手が背中であたふたと動いているのが分かる。


―――全く・・・君は、相変わらず鈍いというか・・・そこが堪らなく可愛いのだが。




「フォークのことではないぞ?朝から何度も、さんざん煽られ続け、懸命に抑えておったが・・・今のは効いた・・・・心臓が痛む・・・。速まった鼓動が戻らぬ・・・。どうしたものか。君だけだ、私にこんなことが出来るのは―――――」



耳にキスをし、うなじから腰まで背骨を辿る様に、指でツーッと撫でる。

腕の中で、ぴくんと反応する身体。

このままベッドに連れて行こうか・・・だが―――


耳元で囁きかける。





「・・今すぐ抱いても良いか?」





「ん・・・ダメ。アラン様・・今は・・ダメです」



「どうしても、ダメ、か―――?私は、君を欲しておるのだが―――」



唇を甘く塞いだ後、首から肩にかけて唇を何度も落とす。

唇から洩れる吐息が熱くなり、チャリン・・・と音を立て、フォークが床に落ちた。



「ぁ・・・まって・・。ぇ・・・っと・・・・今は・・・ダメ、です・・・」



「・・・何が何でも、ダメ、か?」



「・・・・ダメ・・・です・・・」



―――・・・仕方あるまい―――



「―――分かった。では、出掛けるとしよう」



時間がかかったが、湧きあがる想いをなんとか抑え込み、膝に抱いていた身体を離して手を取り、立ち上がらせた。

無理矢理には出来ぬ。君に嫌われたくないゆえ。



「このまま城に居れば、私は何をするか分からぬからな」


「・・アラン様・・・ごめんなさい」


「私の勝手な想いゆえ、君は謝らなくとも良い」


「・・はい・・・あの、では、出掛けるって、どこに行くのですか?」


「城下だ。連れていきたいところがある。君も行きたいところがあれば、申せよ」
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