シャクジの森で〜番外編〜
城の馬車道、城門に向かい急ぎ馬を駆る一人の兵士。
一体何があったのか。
「何故誰も御止めしなかったのですか!!」
柔らかな日差しの当たる城の庭に、憤りを含んだ声が木霊する。
アランの塔の1階、兵士たちの集う食堂から響き渡ったその声に、驚いた鳥たちがバタバタと飛び立つ。
揺れた枝から数枚の葉がヒラヒラ舞い落ちた。
数刻前のこと。
一人の兵士から伝え聞いた驚愕の話に、鋭いブラウンの瞳がギラリと光った。
「今、なんと言いました。アラン様とエミリー様がお忍びで出かけられたと言いましたか??誰も護衛に着くなと、仰ったと言うのですか?それは本当なのですね!?」
「いや、私は塔の玄関の警備兵に聞いただけでして・・・と申しますか、団長は何もご存知なかったのですか?」
「お伺いしておれば、今、ここにいません!リダル、この件を長官にお知らせしろ。私は追いかける!」
「承知いたしました」
こうしてはいられない。
呑気に食事をとっている場合ではない。
すぐさま席を立ち、馬小屋までひた走った。
相当焦り、急いできたため食事時に付けたナプキンが襟元からぶら下がったままでいる。
そんなことは気に留める余裕などなく馬に飛び乗り、ぶるると首を振り脚を踏みつける馬を宥め手綱で急かした。
護身用の剣は、持っている。
城門を超える際、大声で「どこに行くのか」「襟元に気をつけろ」と口々に指摘され、舌打ちをしつつ外して、忌々しげにポケットに押し込んだ。
焦り急いだのはいいが、何処に行かれたのか全く分かっていない。
私はエミリー様の警備責任者だ。
アラン様がご一緒とはいえ、城下に護衛も着けずに行かれるとは、何の冗談か。
願わくば夢であって欲しいとさえ思う。
アラン様も何をお考えなのか。
御自分の身も危険であるというのに。
変装して出掛けられたそうだが、漂う気品と威厳あるオーラは早々隠せるものではない。
エミリー様もだ。あの方の人を惹き付ける魅力は―――
考えれば考えるほど、嫌な予感が頭を支配する。
―――チッ・・・一体何処に行かれたのか。
とりあえず午後から出かけられる距離と言えば、あそこか。
一か八かだ―――
「困ります!お忍びで出掛けられるなど、私は何も伺っておりません!!」
込み上げてくる怒りにも似た感情を発散するように、叫び声をあげるウォルター。
道行く人が、何事か、と振り返り見ている。
あまりの疾駆ぶりに聞き取ることは出来ないが、注意を引くには十分だった。
―――もしも御二人の身に何かあったら、私は―――
ギリと歯を噛み、唇を引き結び、ウォルターはさらに馬を急かした。
一体何があったのか。
「何故誰も御止めしなかったのですか!!」
柔らかな日差しの当たる城の庭に、憤りを含んだ声が木霊する。
アランの塔の1階、兵士たちの集う食堂から響き渡ったその声に、驚いた鳥たちがバタバタと飛び立つ。
揺れた枝から数枚の葉がヒラヒラ舞い落ちた。
数刻前のこと。
一人の兵士から伝え聞いた驚愕の話に、鋭いブラウンの瞳がギラリと光った。
「今、なんと言いました。アラン様とエミリー様がお忍びで出かけられたと言いましたか??誰も護衛に着くなと、仰ったと言うのですか?それは本当なのですね!?」
「いや、私は塔の玄関の警備兵に聞いただけでして・・・と申しますか、団長は何もご存知なかったのですか?」
「お伺いしておれば、今、ここにいません!リダル、この件を長官にお知らせしろ。私は追いかける!」
「承知いたしました」
こうしてはいられない。
呑気に食事をとっている場合ではない。
すぐさま席を立ち、馬小屋までひた走った。
相当焦り、急いできたため食事時に付けたナプキンが襟元からぶら下がったままでいる。
そんなことは気に留める余裕などなく馬に飛び乗り、ぶるると首を振り脚を踏みつける馬を宥め手綱で急かした。
護身用の剣は、持っている。
城門を超える際、大声で「どこに行くのか」「襟元に気をつけろ」と口々に指摘され、舌打ちをしつつ外して、忌々しげにポケットに押し込んだ。
焦り急いだのはいいが、何処に行かれたのか全く分かっていない。
私はエミリー様の警備責任者だ。
アラン様がご一緒とはいえ、城下に護衛も着けずに行かれるとは、何の冗談か。
願わくば夢であって欲しいとさえ思う。
アラン様も何をお考えなのか。
御自分の身も危険であるというのに。
変装して出掛けられたそうだが、漂う気品と威厳あるオーラは早々隠せるものではない。
エミリー様もだ。あの方の人を惹き付ける魅力は―――
考えれば考えるほど、嫌な予感が頭を支配する。
―――チッ・・・一体何処に行かれたのか。
とりあえず午後から出かけられる距離と言えば、あそこか。
一か八かだ―――
「困ります!お忍びで出掛けられるなど、私は何も伺っておりません!!」
込み上げてくる怒りにも似た感情を発散するように、叫び声をあげるウォルター。
道行く人が、何事か、と振り返り見ている。
あまりの疾駆ぶりに聞き取ることは出来ないが、注意を引くには十分だった。
―――もしも御二人の身に何かあったら、私は―――
ギリと歯を噛み、唇を引き結び、ウォルターはさらに馬を急かした。