シャクジの森で〜番外編〜
私とアラン王子が・・・とは。

そんなことあるわけないよ、とても恐れ多いことだよ。




“言葉遣いは直さなくとも良い。その方がサリーらしくて良い”


確かにアラン王子はお優しいところがある。

私がアラン王子の正体を知ったのは、随分大きくなった頃だった。

幼い頃から気安く話してたのに、急に改めろって言われても、なんか困っちゃって。

言葉遣いが直せない私に、アラン王子は、そう言ってくれたんだ。




でも・・・もしも身分違いが許されるんだったら。

私なら、パトリック様が良いけどね。

あんな素敵な人が旦那になってくれたなら、もう何もいらないよ。


アラン王子の、あの氷のように冷たいところがいいって女性も、沢山いる。


・・・でも、今はあんな怖い顔して私を睨んでいるのに、この王子妃様には優しい顔を向けてたね・・・。

さっき見てしまったキスシーンを思い出すと、ドキドキしてしまう。

あんな顔を、するんだねぇ・・・。



「・・・王子妃様が心配するようなことは、何もないよ。あの堅物さんは、ずっと女に興味なかったんだから。降るような縁談も全部撥ね付けてたし、たまに告られてもピシリと断ってたよ」


「告白されていたの、サリーさんは見たことあるの?」


「あぁ、城下に視察に来たときにね。熱をあげたどこかのご令嬢がしていたよ。でも安心するといいよ―――あぁ、ほら、眼だけ動かしてそっと見てみなよ・・・。ものっすごく心配そうにこっち見てるだろ?あれは、王子妃様に心の底からぞっこんさ」


「え・・・っと、ぞっこん??・・・そうなの?でもわたし、何も知らないから・・・」


「そうだねぇ、じゃぁ、今度一人で来なよ。アラン王子の昔話、いろいろ聞かせてあげるからさ。ね?」


「えぇ、聞きたいわ。サリーさん、ありがとう。でも、一人で城下に来ることは、アラン様が許してくれそうもないわ」


「そうなのかい・・・そりゃ残念だね」



傍から離さないか・・・よほど大切なんだね・・・。

でも、わかる気もするよ。

儚くて、強く触れたら壊れてしまいそうで、私でも守ってあげたくなるんだもん。

男からしてみればたまんないだろうね。


だけど、心配なのはわかるけど、そんなに睨まなくてもいいだろ?

すぐに返すよ・・・。



「ねぇ、王子妃様。ここに来たいって頼んでみたらどう?あの様子だと、王子妃様が頼めば何でも許してくれそうだよ?」

「そうかしら・・・」



アラン王子は腕を組んだ姿勢でずっとこっちを見てる。

こんなに想われてるのに、王子妃様は結構鈍感なんだね。

これじゃ、アラン王子も苦労するね・・・。

想いはしっかりはっきり伝えないといけないねぇ。



「・・・ほら、もう戻ったほうがいいよ。このままじゃ、私、あの怖い瞳に射殺されそうだよ」


冗談めかして言いながら、小さな背中をそっと押した。
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