幼馴染と甘い夏【短編 】
「・・・・ないかもしれないよ?」
ケンタさんが小さな声で言った言葉が、強風にかき消されて聞こえなかった。
「え?なんですか?」
聞き返してケンタさんの方に顔を向けると、グイッと細身の腕に抱きしめられた。
「ちょ、ちょっと?何するん・・」
「シー。ちょっとだけ、慰めさせて?」
不覚にも、翔ちゃんとは違う、細くて硬い身体に抱きしめられ、ドキンとする。
弱っている時に、人の体温は心地よく、自分がそれほど捨てたもんじゃない、という勇気を与えてくれる気がした。
それでも、あたしの求める体温はもっと別の、温かくあたしを包み込んでくれるそれで。
こうして抱きしめられるにも、やっぱり違和感がある。
そう思って腕に力を込めて、離れようとした時―――。