オトナの秘密基地
『和子ではない』


旦那様のその言葉で、私の心臓は突然激しく刻みはじめる。

動揺を隠しながら、くすくすっと笑って聞いた。


「まさか。何でそんな風に思うんですか?」


すると、ますます厳しい声で言われた。


「答えになっていない。

質問を質問で返すのは誤魔化すためだろう」


「いえ、そんなことはありません!

ただ、私が和子ではないなんて、突拍子もないことをおっしゃるから……」


「では質問を変えよう。

和子、お前の干支は何だ?」


え、干支?

意外な質問に焦った。

でも、冷静に計算すれば……ダメだ、わからない!

和子さんの生年月日がわからないもの。

何も答えられずにいる私に、旦那様が追い討ちをかける。
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