オトナの秘密基地
私が『中の人』であることには気づかなくても、私の皮肉には一応気づいたらしい。

さっきまでのニヤけ顔が、ぶすっとした表情に変わった。


「征二が戦死した場合も、ずっと母一人子一人で暮らしていくと、そういう事か?」


あれ、和子さんが妊娠中だということを知らないのだろうか?

子どもは二人になるのだけれど。

……もしかしたら、この人たちに妊娠したことを知られたくなくて、和子さんはあんなにきつくさらしを巻いて、お腹を小さく見せていたのかも知れない。

出産間際まで隠し通す方が、叔父さん一家を刺激せず、余計なストレスも避けられる。

そうか、とひとりで納得した。

でも、今はもう、さらしを使っていないし、さすがに隠し通すのは無理だと思う。

いいや、言っちゃえ。


「いいえ、母一人子二人になります」


その途端、正さんはカツヤをいきなり掴んで、私の膝の上から降ろしてしまう。

あまりにも突然だったので、私はその反動でよろけて仰向けに倒れた。
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