オトナの秘密基地
叔父さんが驚いて声をあげた。


「ここも焼け野原になるのか!!」


正さんが立ち上がる。


「部屋に大事なものを置いたままだ!」


大事なものが何なのか、すぐに分かった。

この間渡した、戦時国債のことに違いない。

そんなものを取りに今行かれたら、敵機にこの場所を発見されてしまう!


「この馬鹿っ! 今出て行ったら死ぬよ!

命より大事なものがあるのかい!!」


私が止めるより先に、叔母さんが止めてくれた。

その言葉のすぐ後、バラバラバラバラ……と何かが弾ける激しい音が、防空壕の扉から聞こえた。

立ち上がっていた正さんは、その音に怯んでしゃがみこんだ。

ゲームで体験したマシンガンのような、連続した音。

これが、機銃掃射だと気付いた時には、防空壕の中にいる全員が息を飲んだ。
< 170 / 294 >

この作品をシェア

pagetop