オトナの秘密基地
機銃掃射されてから、どの位の時間が経過したのだろう。

辛い時間は体内時計を狂わせる。

ほんの数分の出来事だったかも知れないけれど、私には数時間に感じられる。

暗闇で、私達は空襲警報が解除されるのをじっと耐えて待っていた。

その時、抱っこしていたカツヤのお腹が、ぐう~っと鳴った。


「おにぎりちょうだい!」


こんな状況でも、お腹は減るらしい。


「そうね、今のうちに食べちゃいましょう」


この先、何があるかわからない。

もしも自宅が燃えていたら、ご飯どころじゃなくなる。

そう思って、自分の後ろに置いていた重箱を手探りで開けた。

カツヤの手に、ひとつ握らせて、それからそこにいるみんなに声をかける。


「あの……おにぎり、食べませんか?」
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