オトナの秘密基地
チャイムを鳴らして玄関が開くのを待つ間、私はそわそわしつつも、お母さんの反応を楽しみにしていた。

がちゃりと鍵が開く音に続いて、お母さんの優しい声。


「おかえり。今日は晩御飯、どうするの……って、お客様!?」


お母さんはものすごく驚いている。

そりゃそうだろう、この28年間、私が両親にオトコを紹介したことなんて、一度もないんだから。

悔しいことに、愛実は何度も違うオトコを連れて来て、別の意味でお母さんを心配させていたけれど。


「うん。あのね……」


私の言葉の後を、すかさず中田さんが続けてくれた。


「お約束もせず、突然のご挨拶で申し訳ありません。

和実さんとお付き合いさせて頂いている、中田博矢と申します」
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