オトナの秘密基地
リビングに場所を移し、談笑する中田さんとお母さん。

中田さん、大歓迎されてますが。

急きょトランクから出された手土産は、お米だった。


「つい最近収穫した『ゆめぴりか』です」


「まあ、ありがとうございます。

……中田さんのお家は農家ですか?」


「いえ、田んぼを貸しているだけで、私の本業はサラリーマンです。

あ、これをどうぞ」


会社の名刺を、お母さんにも差し出している。

このまま二人で話していてもらっちゃおう。


「私、着替えてくるから」


とりあえず、この格好を何とかしなくちゃ。

大急ぎでドット柄のワンピに着替えて、メイクをささっと直した。

リビングへ戻ると、すっかり打ち解けた様子の中田さんと、いつもより1オクターブ上がった声で嬉しそうに話すお母さんがお茶を飲んでいる。
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