漆黒のタクティック 【1巻】
「あ、キミが私の隣の席の人だね?」
すごく優しい声が聞こえた。
やはり、女の子の声だ。
「え?もしかして…リズさん?」
「リズさん…ってさん付はいいよ。リズで!ね。リュウ」
リズさん…あ、いや。リズは笑顔でそう言ってくれた。
「あ。その。リズ。…これからよろしく」
僕はそう言った。
「うん。なんか、恐そうな人じゃなくて良かった。だって、恐そうな人だったら、気まずいもの」
そうリズは言った。
でも、リズって人は、ものすごい心の悩みを抱えていた。
僕は、全くそのことなんて知らなかったし、思いもつかなかった。