プレシャス
「何って…別に」
「うっそぉ~」
「…嘘ついてどうするのよ」
だって
ホントに。
たいした話なんてしてなかったし。
まぁ…
こないだのグラス割ったのとかは、頼子達には内緒だから言えないとして
でも
それ以外には何にもなかったし
「つまんな~いっ」
「…あのね。てか、何かある方がおかしいでしょ」
「でも、坂井君て志穂のこと気にしてると思ったんだけどなぁ」
「あるわけないでしょ」
テーブルに突っ伏してまだブーブー言ってる頼子を横目に
不意に昨日の事が頭をよぎった。
昨日の…
ドキンて…
あれって…
なんだったんだろう
あたしを見つめて
ホッとしたみたいに笑う顔。
まっすぐに
目をそらさない
そんな瞳…
なんか…
照れ臭くて
こそばゆくて…
あたしがあんまり男の子に慣れてないせいかな
だから
ドキンて…
きっと
そう…だよね?