プレシャス
「でも、志穂はさ~、もっと自分にわがままでいいと思うよ?」
「わがままって…なに急に」
カチャカチャと小さく崩したハンバーグを口へ運ぶ頼子。
突然のひと言にポカンとしてると
「あたし、志穂には坂井君みたいな真面目な人とかが似合うと思うけど」
絶対そうと
持ってたフォークを振りかざして熱弁。
「…やだ、何言ってるのよ」
「志穂は坂井君みたいなタイプって嫌い?」
「もう、好きとか嫌いとか以前の話でしょや」
あたしには修がいるってのに、何を突然言い出すんだか
いくら冗談でも笑えないよ
「それに、坂井君にも選ぶ権利があるんだからね」
「だってさあ~…」
ホント
そんな簡単なら世の中苦労しないんだってば
「ほら、さっさと食べちゃって」
ぶちぶち言ってる頼子を宥めようと
肩に触れようとした時
頼子の表情が一瞬で険しくなった
まるで睨むみたいにチラッと斜め後ろへと視線をずらして、
周りに聞こえるくらいに嫌みなため息をついた。