プレシャス







「冷てぇよな~、いたんなら声くらいかけろよ」


「あ……うん…ごめ…」






ゆっくりとあたしに近づく足音。





ちゃんと…
顔見て話すのなんてホント久々なのに

やっぱり普段と変わらない修の笑い声。




それはまるで
あたしに会えなかったことなんて、たいして特に気にも止めてない

そんな風に見えた。









「あの…さっ…」

「あ?」


「最近…どう?忙しい?」










しらじらしい…かな

さっきの会話
聞いてたくせに。


でも
返ってきたのは











「あぁ、課題ばっかで研究室にこもりっぱなしでよ~。昨日も今日も大学に泊まりよ?俺」






…そんなことに気が付きもしない

…明るい声。







「たまにはちゃんと帰ってゆっくり飯とか食いたいよな~」


もしも
今あたしが



“でも昨日、あの子の家に遊びに行ってたんでしょ?”







…そう口にしたら

修はどう返事するんだろう




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