プレシャス
「何が向いてないんです?」
テーブルにうつ伏せ そんなあたしの背中から聞こえてきたのは
どこかで聞いたことのあるそんな声。
ビックリして振り返るとそこには
「良かった、違う人だったらどうしようかと思った」
ただのナンパになるとこだったってホッとして笑う
坂井君の姿があった。
「え…なんで…お店は…?」
「今日は休みで。ちょっと友達と街に出てて。帰りにここ寄ったら見慣れたカバン見えて」
いつもあたしが持ち歩いてるバックを指指した。
バックなんて…
そんなの圭介や大造でも気にしないのに
よく見てるなぁ
「…隣、いい?」
「あ…うん」
お店じゃなくて、こんなとこで会うなんて
ちょっとビックリ。
いつもはカウンター越しでしか接することがないから
隣にって…
なんか変な感じ。