君がいたから。



「ママ...?大丈夫だよ。
千佳も、ママもこれで安心だよ。」


「千絵...、ごめんねッ、ごめんねッ」



母は、私に抱き着いて泣いていた。
優しく、優しく私は母の頭を撫でた。

それと同時に私は必死に心の中で
大丈夫。大丈夫。と唱え続けていた。

母からそっと離れて、
少し遠くで泣いている千佳の元へと歩み寄った。


「千佳...?平気...?」


歩み寄るが千佳は何も言わずに首を左右に振っていた。
私が来ることを拒んでいるのだろう。

ふと、横にあった姿見に映った私が見えた。
なんて、恐ろしい姿だろうか。

顔と服には父の血が飛び散り
目は恐怖と憎しみに満ち溢れていた。


あなたは、誰...?


心の中の疑問がずっと巡っている。






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