幽霊の思い出話
「たまに戻っては、陰から顔を見て安心しきっていた。まさかこんな早くに逝くなんてなぁ。人の命ってのは分からねぇもんだよな」
そう言いながら、石川様は眉を少し下げ苦笑いした。
「そんなこと言って・・・。ここにいる場合じゃないですよ。お母様のところ行かなくちゃ駄目なんじゃないですか?」
「いや、いいんだ。ここにいて、いつも通りにするのがいいんだ」
「石川様・・・。今更会いに行ったってって思うんじゃなくて、今だから会いに行かなくちゃいけないと思わないと。もう二度と会えないんですよ?ちゃんと立派に成長した顔を向き合って見せてあげてくださいよ」